て見に行くのではつまらない、誰か相当の連れはないかしら。
わかりがよくって、話の面白い連れがあれば、同じ芝居でも、いっそう面白く見られるのだが――そんなものは有りはしない。
誰か当りをつけて、押しかけて行って、ひっぱり出してやろうか知ら。
そういう謀叛《むほん》を考えている一方、神尾主膳もまた、さあ、これからどこへかひとつ、出かけて行ってやりたいものだが、さて、どこへ行こう。これは芝居でもあるまいし、さりとて、もうこの倦怠《けんたい》しきった身体《からだ》のやり場と、えぐりつけられた顔の傷のさらし場とては無い。
こう、同じ家で、同じように倦怠と、退屈のやり場に困っている者が重なれば、相見たがいで妥協が出来そうなものだが、どちらもそこへ気がついて、自分から先に妥協の手をのべようとする者はないらしい。
「まあ、仕方がない、お絹の奴のところへ、当座の退屈しのぎにでも出かけようかなあ、鯨汁のようなもので、度々では鼻につくが。それにあいつ、話の数をたんと持たないから、飽きが来た日には、退屈の上塗りをするようなものだが、仕方がない時は仕方がない――せめて、あいつが碁でもやれるといいんだがな
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