きりにながめています。度《ど》すべからざるはウスノロ改めマドロス氏で、今以ていぎたない酔睡《よいね》から覚めやらず、長椅子にフンゾリ返った無遠慮千万の行状です。
駒井は壁にかけたマントを取って、田山白雲の肩に打ちかけました。
白雲は、それを引纏《ひきまと》うて身がまえをするのは、多分、これから茂太郎と兵部の娘の行方を探すべく、出で立つの用意と見えます。駒井はと見れば、かれは一旦、研究室の方へ引返して、それは少し短いマントを引っかけて、鞭《むち》を持って来ました。
田山白雲が、和服の上にマントで、中には脇差を一本差して、無雑作に草履《ぞうり》を突っかけた時に、駒井甚三郎は、長靴をはきはじめました。その長靴をはくことが多少手間取るものですから、田山は、さっさと海辺へ向けて歩き出しました。
かくて、この二人もまた夜の海岸を歩み出したのは、前の二人とは違い、半ば散歩のような気持に見えましたが、これでも、たしかに相当の憂心を、二人の即興者の身の上にかけていることには違いありません。
行き行きて、竜燈の松のところに来ると、田山白雲が、ふと歩みをとどめて、耳をすまし、
「ああ、大丈夫です―
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