に大きくうなずきました。自分の得意の問題には、泡を飛ばして気焔を吐くが、自分の至らざる知識については、極めて神妙に人の説を聞いているのがこの男の性質です。そうして、特に海の問題について、駒井の知識をたたくと、それが田山には、無尽蔵の知識のように思われて、単に海の知識を聞くだけでも、相当の年月をここに費して足りないとさえ思われるのです。
田山は全く駒井の知識に敬服している。人物思想の全幅《ぜんぷく》に傾倒するというには、どことなく物足りないことがあるけれど、駒井の知識の実際に根ざし、計数を基として、ねちねちと語り出されるときには、絶対無条件で敬服、聴従するのが例であって、今もその通りです。
田山はおそらく徹夜して、その駒井の持てる知識の傾注に、飽くるということを知らないでしょう。
駒井もまた、この男に語るのは、知識を捨てるのだとは思えない。自分自身すらも、研究室にあると同じほどの熱心をもって、それからそれと語り出でて、このごろは食後、そのままが直ちに研究の結果の発表になってしまったり、講壇の講義そのままになってしまったりすることが、珍しくはありません。
金椎は気を利《き》かして、
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