秋恨《しうこん》に堪《た》へ
玄兎城南、みな断腸《だんちやう》――
[#ここで字下げ終わり]
白雲の豪壮な体躯と、爽快《そうかい》なる咽喉《のど》から、この詩が迸《ほとばし》り出でる時、茂太郎は笛をやめて、白雲の咽喉の動くのを見つめていたことがあります。
今は、その時とは違って、ただひとり、ほしいままに蘆管を吹き鳴らしていると、ゾッと寒気を催します。何しろ、裸ではあるし、海の風がうら淋しく吹いてくるのですから、蘆管の音そのものまで寒くなるのも仕方がありません。
幸いにして、その寒気を感じた時分には、着物はおおかた乾いていたものですから、茂太郎は無雑作《むぞうさ》にそれを取って一着に及びました。
まだ興が中断せず、着物を着て再び薪を加えてから、またも蘆管を取って吹き鳴らそうと試みた時、かの無縁仏の多くの石塔の間に、動いて来るものを認めました。
小さな獣《けもの》が一つ、乱離とした卒塔婆と、石塔との間に、うずくまっているのを認めたものですから、茂太郎は、
「来い、来い」
と小手招きすると、その獣は、ニャオと鳴いてあちらへ行ってしまいます。
「なんだ、猫か」
さしもの茂太郎が、暫
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