が仕方がねえよ、役者が違うんだからなあ。向うは天下のためだとか、国家のためだとか言って、後ろに大仕掛があってやるいたずら[#「いたずら」に傍点]なんだろう、こちとらのは腕一本の、出たとこ勝負のちょっかいだから、やり損じた日にゃ、いつでもお笑い草だ、お笑い草はいいが、さらし物は気が利《き》かねえ」
山崎譲につかまって、ああして惨酷な取扱いを受けている時は、観念の眼をつぶったらしく、一言もいわずにいたのが、この時分、情けない声を出して、
「どうなと勝手にしやがれ……がんりき[#「がんりき」に傍点]のさらし物が見たけりゃ、皆さん、たんと見て行きな、代は見てのお戻りだ」
通りかかって、このさらし物を見るべく足を留めようとする連中を、辻番の足軽が、しきりに六尺棒で追い払うものだから、人だかりはないが、でも、往くさ来るさの人で、このさらし物に目を引かれないものはない。
「水を一ぱいおくんなさい、どうも、いいかげんかけ廻ったものだから、咽喉《のど》が乾いてたまらねえ、愚痴は言わねえから、水を一杯だけ恵んでやって下さい、御当番の旦那……いけませんか。いけなけりゃ、右や左の、通りすがりのお旦那様に、
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