いるようなものだから、ばかばかしいこと夥しいが、それでも、逃げる方も血眼《ちまなこ》であり、追う方も血眼であり、結局、足の達者な方が、長続きがして、足の弱い方が、早くくたびれるという尋常の法則を繰返すだけのものに過ぎまい。
 山崎譲は、この駈足のどうどうめぐりを、面白がって辻番の前で見物していたが、
「どうでしょう、奴、逃げられましょうか、うまく逃げおおせられますかな」
 小田原藩の足軽の一人が、傍《かたわ》らからマラソンでも見るような気分で、問いかけたものですから、山崎譲が、
「結局は逃げられるだろう、あれだけ違うんだからな。奴、血迷っているから、抜け道がわからないんだ、うまく抜け道を見つけ出して、海岸へ走らせた日には、もうおしまいだ」
「逃がしちゃいけませんよ」
「逃がしちゃいかんよ」
「どうです、どちらもかなり疲れたようだが、なんとか方法はありませんか」
「どうも仕方がないね、鉄砲で撃ちとめるわけにもゆくまい、弓で射て取るがものもあるまい、やるだけやらせるさ」
「しかし、そう言っているうちに、逃がしてしまっちゃ詰りませんよ」
「逃がしちゃいかんよ」
「でも、足の業《わざ》から見て
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