も、想像以上の、髪の毛のモジャモジャな、眼の碧い、鼻の尖《とが》った、ひげの赤い、服の破れた大の男が、今しも自分を上から圧迫するようにのぞき込んで、棒のような指で、自分の頬をつついているのを見ると、
「いけない!」
娘はパッとはね起きると、大の男が口早に何か言いました。
何か言ったけれども、それは娘にはわからない。恐怖心でわからないのではなく、言った言葉そのものの音がわからない。
「お前は誰だい、あっちへ行っておいで、誰にことわってここへ来たの、あっちへ行っておいで――」
娘は叱りながら、扉の方をさして、立退きを命ずるほどの勇気がある。
そこで大の男がまたチイチイ、パアパアいう。けれども、何のことだかそれが聞き取れない。また聞き取ってやる必要もない。他の寝室へ闖入《ちんにゅう》して、異性に戯《たわむ》れんとするは、狼藉《ろうぜき》中の狼藉である。容赦と、弁解とを、聞き入るべき余地あるものではない。
「あっちへおいでなさいといったら、おいでなさい――人を呼びますよ、誰か来て下さい!」
娘はついにかなり大きな声を立てましたが、ここまで闖入者を許すほどの家だから、この声が有効になる
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