海水は大抵、千分の三十四五ぐらいの塩分を溶解しておるのですが、それでも物を浮かす力はとうてい河の水の比ではない……これは海ではありませんが、アメリカのユタというところにある湖は、千分の二百五十も塩分を含んでいるそうですから、人間が落ちても、どうしても沈まない、この湖では、泳げないものでも決して溺死《できし》をするということがない、また身投げをしても、死ねないからおかしい」
「ははあ……そういうものですか」
田山白雲は、感心して、沈黙させられてしまいました。
自分の印象的な、感激的な頭を以て、斯様《かよう》な穏かな説明を聞かせられると、感心の度が深いと見える。駒井にあっては尋常茶飯《じんじょうさはん》の説明も、持たぬ者より見れば、持つ者の知識の影が、大き過ぎるほど大きくうつるのも免れ難い弱点かと思われる。
かくて二人はまた、海をながめながら海岸を歩んで行くうち、言い合わせたように二人の眼が、ハタと地上に落ちて足をとどめました。
駒井と、白雲とが、急に踏みとどまった砂浜の上には、ぬかご[#「ぬかご」に傍点]にしては大きく、さつまいも[#「いも」に傍点]にしてはぶかっこうな根塊《こん
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