笑い声を持っている者はほかにはありません、それは鐙小屋《あぶみごや》の神主さんでありました。
『まあ、神主様でしたか?』
『お雪さん、考え過ぎてはいけませんよ』
『ビックリしましたわ』
『は、は、は、わたしの方でビックリしましたよ、また一人心中が持ちあがるのじゃないかと思って――』
『そんなことはありませんよ』
『それでも危ないものだ、お雪さん、もっとこっちへおいでなさい』
『どうして?』
『お前さんの、顔の色さしがいけません、もっと明るいところへおいでなさい』
『ずいぶん明るいじゃありませんか』
『自分で、自分の顔がわかりますか?』
変なことをいう神主様だと思いましたが、その時に、またふとわたしの胸に浮んだのは、では、自分でこそわからないが、このごろのわたしの顔色は、いつもと違っているのではないかしら。
もしかして、わたしに、林の中をしょんぼりと歩いていた浅吉さんの顔の色、あんな色が現われているのではないかと、それを思い浮べて、何ともいえないいやな心持に打たれました。
人が見たら、わたしの顔にも、あんないやな色が浮いているのではないか知ら……
その時に、神主様はまた高らかに打笑い、

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