、それもお気をつけなさいませ」
しかしながら、それがために、いまさら思い止まるべきものではありません。
久助だけが徒歩で、お雪と、竜之助は馬に乗り、他の一頭には、米とその他の荷物をつけて、松本をゆっくりと立ち、野麦《のむぎ》街道を島々の村まで来て早くも一泊。
翌日早朝にここを立って、島々の南谷を分け入りました。
島々では、案内者がこういうのを聞きました、
「山地は秋の来るのが早いですからね。左様でございます、穂高の初雪は九月のうちに参りますよ。八月の末になりますと、徳本峠《とくごうとうげ》の頂あたりが真赤になって、九月の上旬になりますと、神河内《かみこうち》のもみじ[#「もみじ」に傍点]がととのって参ります。ごらんなさい、この辺も、もう青と紅とがとりどりで、錦のようになってしまいました。これが十月になると、焼ヶ岳も真白になってしまいます。けれども、まだこの道が通えないということはございませんが、十一月になりましては、もういけません」
とにかくに馬を進ませて行くに従って、秋の色は深くなってゆくばかりです。
「まあいいわ……」
五彩絢爛《ごさいけんらん》として眼を奪う風景を、正
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