》に向おうとする時分に……それはそれは大変なことでございます、あちらでは追々《おいおい》、お湯をとざして、大野や松本へ出てまいりまする時分に、あなた方はあちらへおいでになる……そうして冬籠《ふゆごも》りをなさる、いやそれほどの御辛抱がおありになれば、いかなる難病でもなおらぬということはございますまいが……それにしても、まあ、途中だけでも容易なものではございませんよ……いっそ、この浅間の温泉で御養生をなすったらいかがでございますか。それは、お湯はとうてい白骨ほどのきき目はないかも知れませんが、第一、ここにおいでになれば御城下は近し、四時、人の絶えたことはございませんから、心配というものが更にありません。あの、奥信濃の飛騨の国との境、白骨の温泉で冬籠りをなさるというのは、ずいぶん冒険でございます、それはできないことはございますまいが……雪が降り積って、山も、谷も、埋めた時は、全く人間界を離れてしまいますからな、御用意に如才《じょさい》もございますまいが、食物から寒さをしのぐ用意まで、念をお入れになりませんと……それと雪の降る日などは、飢えに迫って猛獣が、人のにおいをかぎつけてまいりますから
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