か、流し元の窓や、唐紙《からかみ》の破れを繕《つくろ》った反古《ほぐ》をよくよく見ると、それがみんな一茶自筆の書捨てなんですよ。知らずにいる子孫は、いい反古紙のつもりで、それを穴ふさぎに利用したものです。あんまり驚いたもんですから、わたしどもはそれを丁寧にひっぺがしてもらって、こうして持って帰りました。それからこの渋団扇《しぶうちわ》、これもあぶなく風呂の焚付《たきつけ》にされるところでした。ごらんなさい、これに『木枯《こがら》しや隣といふも越後山』――これもまぎろう方《かた》なき一茶の自筆。それからここに付木《つけぎ》っ葉《ぱ》があります、これへ消炭《けしずみ》で書いたのが無類の記念です。一茶はああした生活をしながら、興が来ると、炉辺の燃えさしやなにかを取って、座右にありあわせたものに書きつけたのですが、こんなものをその子孫が私どもに、屑《くず》っ葉《ぱ》をくれるようにくれてしまいました。あんまり有難さに一両の金を出しますと、どうしても取らないのです、そういう不当利得を受くべきはずのものじゃないと思ってるんですな。これは、先祖の物を粗末にするというわけじゃない、その有難味のわからない
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