喉でも絞めに来るとか、また刃物でも持って向って来た時には……」
後家さんが、再び、護身の手のことをいい出した時、竜之助はその左の腕を後家さんの背後から伸ばして、その襟《えり》を取ってグッと絞め、
「左様、後ろから絞められた時は……」
不意でしたから後家さんが、よろよろとよろけかかりました。
不意のことでしたから、後家さんも仰天《ぎょうてん》して、よろよろよろけかかるのを竜之助は、
「もし、これを強く絞めようと思えば、こう親指を深く入れて、べつだん力を入れずにグッと引きさえすれば……動けば動くほど深くしまるばかりだ」
と言いながら、後ろから腕を深く入れると、後家さんは、
「あ、あ」
といって息を吹くばかりで口が利《き》けません。後家さんの聞こうとするのは、深く絞める仕方ではなく、絞められた時に、振りほどく手段なのです。ですから、いったんしめた手をゆるめて、その解《と》き方を示すべき時に、竜之助は、無意味にその手をゆるめられなくなりました。
この男には、かりそめの絆《ほだし》が、猛然たる本能を呼び起すことは珍しくないので、活殺の力をわが手に納めた時に、それを無条件でつっぱなしきれな
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