《くう》を切って飛んで来た礫《つぶて》が、鏡のように静かで、そして透き通る無名《ななし》の池の中に落ちて、ザンブと音を立てて波紋が、ゆるやかに広がりました。
 そこで、竜之助はハッとして歩みをとどめました。仰いで見たところで、岩石の落ち来るべきところではない、俯《ふ》して見たところで、人の気配のないところ。
 そこで竜之助は歩みをとどめて、石の降って来た方面に面《おもて》を振向けると、第二に飛んで来た石が竜之助の面をかすめて、再び沼の中に落ちて音を立てました。
 第一のものは、いかなるところから、いかなるハズミで飛んで来た外《そ》れ石《いし》か知れないが、第二のものは、たしかに心あってしたものに相違ない。何か自分をめあてに、仕掛ける意図があっての仕業《しわざ》に相違ない。それにしては力の無い石だと思いました。けれども、竜之助の心が動きました。そうして手に提げていた金剛杖の真中を取って、矢止めの型で軽く振ってみた。その杖先に第三の石が飛んで来てカチリと当って下に落ちました。
「ホホホ、驚いたでしょう」
と行手に立って言葉をかけたのは、聞覚えのある声です。いつのまにか叢《くさむら》の上に立
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