がら、そうして、せっかくの提灯の中の蝋燭《ろうそく》が、早や燃え尽きようとするのに、動き出そうともしません。
ラジオ[#「ラジオ」に傍点]は現代の科学が発明する以前、何千万年の間、この空間に存在していたものであります。けれどもその時代には、各人がアンテナ[#「アンテナ」に傍点]を持つというわけにゆかず、ただ特殊の人だけが、それを聞くことができたのです。天才と修練とによって、透徹された心耳《しんに》を有する人は、この宇宙のラジオ[#「ラジオ」に傍点]を、アンテナ[#「アンテナ」に傍点]も、レシーヴァー[#「レシーヴァー」に傍点]もなしに聞くことができて、それを人間に伝えた時に、人間がそれを神秘とし、奇蹟としました。ある特殊の人は、いつでも、限られたる人の聞くことができない音を聞き、限られたる人の見ることのできない世界を見ているのです。ですから、経文《きょうもん》の世界は、大覚者にとっては夢の世界ではなくして、現実の世界です。
ここにお喋《しゃべ》りの弁信法師は、暗中に立ってその特有のアンテナ[#「アンテナ」に傍点]を働かしている。
提灯《ちょうちん》は、とうとう消えてしまいました。
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