、なんだってこんな山ん中へ逃げて来ているんだい。叔父さんと一緒に帰《けえ》らねえか、親方もお前を待ちきってるぜ、御贔屓筋《ごひいきすじ》もお前をさがしている。江戸へ行けば、お前は人気の神様で、金の生《な》る蔓《つる》を持っているのに、なんだってこんなところに隠れてるんだい。さあ、叔父さんと一緒に帰らねえか」
悪獣毒蛇を恐れない茂太郎が、この時、面《かお》の色を真青《まっさお》にして返事ができませんでした。
清澄の茂太郎は、アッとばかりに立ちすくんでしまいました。
がんりき[#「がんりき」に傍点]の百蔵は、立ち上って左の手で茂太郎の右の手首をつかまえてしまいますと、
「叔父さん」
茂太郎は悲しい声を出しました。
「何だ」
「堪忍《かんにん》しておくれよ」
「堪忍するもしないもありゃしねえ、お前をよくしてやるんだぜ」
「だって」
「こんな山ん中に隠れているより、江戸へ出りゃあ――両国橋へ帰りさえすりゃあお前、いい着物を着て、うまいものを食べて、人にちやほやされて……」
がんりき[#「がんりき」に傍点]の百蔵は、やさしく言って聞かせるように、
「楽ができて、うまいものが食べられて、
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