は、頭も尻尾も上らないで、いつぞやは、裸にされて、甲州名代の猿橋の上から逆《さか》さまにつるされたことがある。その辺を心配してみると、この危険区域には、うっかり碇《いかり》を卸せなくなるはずです。
で、結局、どう思案がついたか腰を浮かしながら、
「待てよ……あの寺で、おれの姿を見ると、慌《あわ》てて縁の下へ隠れたのは、ありゃ清澄の茂太郎だ」
とつぶやきました。なるほど、がんりき[#「がんりき」に傍点]ほどの眼力《がんりき》で、子供の隠れんぼを見落すはずもあるまい。
その時分、幸か不幸か茂太郎は、
[#ここから2字下げ]
いっちく
たっちく
ジンドコウ
[#ここで字下げ終わり]
そういいながら、ちょうど、この宮の台の原へ馳《は》せ上って、ほとんど、がんりき[#「がんりき」に傍点]の眼前|咫尺《しせき》のところまでやって来たものですから、
「おい――茂坊」
「おや?」
清澄の茂太郎が、ギョッとして立ち止まりました。
「茂太郎」
「あ、お前は……」
「お前こそ、どうしてこんなところに来てるんだい、両国橋にいれば、ああして人気の上に祭り上げられて、栄耀栄華《えいようえいが》が尽せるのに
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