ロソロとやって来て、
「こちら様の本堂は棟木《むなぎ》から柱、床板に至るまでことごとく一本の欅《けやき》の木でお建てなすったとやら、その評判をお聞き申しましたものですから、こうして通りがかりに伺いましたようなもので、口幅《くちはば》ったい申し分ですが、この道の後学のためにひとつ、拝見をさしていただきたいとこう思いますんで……」
「あ、左様でございましたか」
 弁信法師もまた、さることありと頷《うなず》いて、
「左様なお話を私もお聞き申しておりました、棟より柱、椽《たるき》、縁、床板に至るまで、一本の欅《けやき》を以て建てたのがこの本堂だそうでございます、それはいろいろと因縁話《いんねんばなし》もございますようですが、ともかく、ごゆっくり、ごらん下さいまし……」
 その道の者が参考に見学したいというのだから、見ても見せても、さしつかえないと弁信がのみこみました。
「はい、有難うございます、それでは、とりあえず本堂の方から拝見をいたしまして、次に三重の塔を」
「どうぞ、御自由に。誰か御案内を致すとよろしうございますが、ただいま、人少なでございますものですから、どうか御自由に」
「その方が勝
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