ちそれに囁《ささや》いて差図をするらしい。差図を受けると集まって来たのが心得て、また闇の中に没入する。その人数|凡《およ》そ十余人を数えることができました。ははあ、いよいよあの人数が千隆寺へ手を入れるのだな――そうなると自分はどういう態度を取ったものか。まあ、もう少し高見の見物。いよいよ事がはじまってから、また取るべき手段方法もあろう、まず危うきに近寄らぬが勝ち。幸い、よき物見の松、と七兵衛は再びこの松に落ちつく心持。
 その時、さいぜんから控えていた二人の者が、やおら立ち上って、しめし合わせながら、闇に消えてしまいました。
 そこで七兵衛も思案して、松の樹を下りましたが、さてどこへどう飛び込んだか、闇の礫《つぶて》のようなもので影がわかりません。
 しかし、松の上で見定めておいた見当によって、千隆寺の境内へまぎれ込んだのは疑いもなく、八葉堂の燈籠《とうろう》の下で、ちらりと見せたのは、たしかに七兵衛の姿でした。
 いや、その前方《まえかた》、燈籠の蔭には、七兵衛でない他の者の姿も、ちらりと影を見せたことがあります。多分、例の隠密《おんみつ》でしょう。
 それから一時《いっとき》ほどし
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