のこと」
「ははあ、武蔵の立川が発祥地で、それから立川流という名が出たのか」
「それを、今時分、千隆寺の山師坊主がかつぎ出して、大分うまいことをしていたのが、今宵はその納め時」
というのが、七兵衛の耳に入りました。そうでなくても、その以前から七兵衛が気取《けど》ったのは、この二人の者は隠密《おんみつ》だ。与力か、同心か、その下の役か、よくわからないが、とにかく、物をいましめるために忍んで来た役向の者に相違ないと、早くも感づいてはいましたが、さてこそ、めざすところは、自分と同じことに千隆寺。そうして、どうやら、この寺へ、以前から目星をつけておいて、今夜は踏込んで、手入れをする手筈がきまっているらしい。
それはわかったが、わからないのは立川流ということ。
武蔵の国、立川というところは、七兵衛が江戸への往還の道だからよく知ってはいるが、そこから立川流というものが出たことは知らない。
千隆寺の坊さんが、立川流という剣術をつかうわけでもあるまい。八百年前に起って、流行の猛烈にして弊害の甚だしきにより、禁制になったという流儀を、ここの坊主が行っているという。
二十七
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