この秘法は、授けるまでに人を吟味し、信心を試験することがかなり厳しいと聞いていたのに――
 丑の日の深更を選んで、子無き女のために、子を授くるの秘法が行われる、滅多な者には許さないが、信心浅からずと見極めのついた者にのみ、その修法《しゅほう》が許される。
 という住職の申渡しが、お絹をして、してやったりと心の中で舌を吐いて、うわべに拝むばかりに有難がらせ、あまたたび、住職に拝礼して、いそいそとして千隆寺から帰って来ました。
 一切を神尾主膳に報告して三日目、丑の日という日の夕方、お絹が念入りにお化粧をはじめると、神尾がその傍でニタニタと笑い、
「これからが土壇場《どたんば》だ」
と言いました。
「戦場へ乗込むようなものですわ」
 お絹は度胸を据えながらも、ワクワクしている。
「一人でやるのは心配だ」
と神尾がいいますと、
「お連れがあっては許されませぬ」
とお絹がいう。
 どうもこの女の心持では、秘密の修法を受けに行くおそれよりは、好奇心に駆《か》られている方が多いらしい。だから、取りようによっては、「いいえ、御心配には及びませぬ、わたしは願っても、そういうところへ一人で行ってみたいの
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