ごもっと》もなこと」
「家名大事と思いまする夫は、妾《しょう》を置くことに心をきめまして、このことをわたくしに相談致しましたが、聞くところでは、夫はもう以前から、そうした女を他に置いてあるのだそうでございます。わたくしと致しましては、それに不服を申そうようはございませぬ、快く夫の申出でに同意を致しまして、妾を内へ入れるようにと申しましたが、それは夫が気兼ねを致しまして……」
お絹はそこで、自分の苦しい立場を、言葉巧みに住職に訴えました。嫉妬ではないが、女のつとめが果せないために、夫の愛を他の女に分けてやらなければならない恨み。どんな方法によってでも、一人の子供を挙げることさえできたなら、死んでも恨みはないという繰言《くりごと》。それを細々《こまごま》と物語りました。
聞き終った住職は、
「いや、いちいち御尤もなこと、左様な恨みを抱く婦人が世に多いことでござる。御信心浅からずとお見受け申すにより、八葉の秘法を修《しゅ》してお上げ申しましょう、丑《うし》の日の夜、これへお越し下さるように……」
案外|無雑作《むぞうさ》に允許《いんきょ》を与えられたものですから、お絹がまた喜びました。
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