のお守りの功徳の莫大なることと、これによって、子無き婦人が、玉のような子供を挙げた実例を、雄弁で説いた上に、なお、希望の方は根岸の千隆寺というのへおいでになれば、われわれの師僧が秘法によって、子を求めんとする婦人のために、容易《たやす》く子を得る方法と、安産の加持《かじ》をして下さるということをいいました。
 ははあ根岸の千隆寺。これが近ごろ評判のそれか。自分の侘住居《わびずまい》と程遠いところではないはず。そこに近頃、安産のお守り、子無き婦人に子を授ける御祈祷が行われて、ずいぶん流行《はや》っているということが、侘住居の神尾主膳の耳へまでよく聞えていた。いろいろの副業を持っているお寺だな。その住職なるものは何者か知らないが、なかなかの遣手《やりて》と見える、ひとつあたってみようかな、というこころざしを起しました。
 しかし、今のところへその住職を招くのも嫌だし、自分が行って会見を求めるのも嫌だ、何か機会はないものかと考えているうちに、そうだそうだ、お絹をやることだ、あの女を子を求める子無き婦人に仕立てて……これは打ってつけの役者だわい、と神尾が思いつきました。

         二
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