「お伴《とも》しましょう」
 白雲は直ちに絵筆をなげうちました。
 駒井は軽装かいがいしく、一挺の鉄砲と弾薬を用意して出かけると、白雲は例の駒井から借着の筒袖のつんつるてんで、そのあとについて行きます。
「駒井さん、僕はこういう岩畳《がんじょう》な身体《からだ》をして美人を描いているのに、あんたは虫も殺さないような顔をしていながら、殺生《せっしょう》な武器を作るのですね」
と白雲が言いますと、駒井が、
「なるほど、そういわれればそうですね」
 ほどなく馬場のようなところへ来て見ると、射撃の練習は今にはじまったことではないと見えて、場の一方に的《まと》が幾つもかけてありました。
 ここで駒井が三十間、五十間、百間と位置をかえて鉄砲を打つのを、田山白雲が見て感心しました。
「なるほど、商売商売だ」
 小さな厚紙の的をかけて置いては、それを、パチリパチリとうちおとしてゆく駒井の手腕は鮮かなもので、全く風采《ふうさい》に似合わないはなれ業《わざ》であると感心しないわけにゆきません。ことにこの鉄砲そのものが自分の手で作られ、英国製のスナイドルというのを分解して、それに自分の意匠を加えたものだと
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