いこ持ちの、日和見《ひよりみ》の、風吹き次第の、小股すくいの、あやつりの、小人雑輩の、紛々擾々《ふんぷんじょうじょう》たる中へ、これだけの悪まれ者を産み出した安房の国の海は光栄です。今でも小湊の浜辺に立ってごらんなさい、われは日本の柱なりという声を聞かずにおられませんよ」
二十二
田山白雲は、ここに当分足をとどめることになって、駒井の造船所を見たり、附近の名所をさぐったり、或いは一室にこもって、駒井のために何か一筆をかき残して置くといっていました。
白雲の給仕役は例の金椎《キンツイ》です。まもなく白雲と金椎とは心安くなりました。
今日は白雲が一室にこもって、長い筆をふるいながら絵をかいている。絵をかきながら鼻唄をうたっている。
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ねんねんねんねん
ねんねんよ
ねんねのお守は
どこへいた
南条|長田《おさだ》へ魚《とと》買いに……
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そこへ不意に駒井甚三郎が入って来て、
「田山氏、鉄砲の試験をするから、見に行かないか」
駒井はこの頃、小銃の製造に苦心していたが、それが出来上ったと見えて、白雲に同行をうながすと、
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