めて人間が光るので、人間そのものの本質を、泥土の中から光らせるという本当の人間がありません……そこへ行くと日蓮は巨人です、日蓮にもったい[#「もったい」に傍点]らしい系図書をくっつけたのは、みな後人の仕事で、日蓮自身の遺文のどこを読んでみても、おれの先祖は誰々だと誇張したところは一カ所もないのです。私は、小湊《こみなと》、荒海《あらみ》、天津《あまつ》、妙《たえ》の浦《うら》あたりの浜辺に遊んでいる真黒なはなたらしの漁師の子供を見るたびに、聖日蓮ここにありと、いくたび感激の涙をこぼしたか知れません。万代不朽の精神界の仕事をする人にとっては、徹底的の卑賤の出身が、どのくらい幸福であるか知れないということを、特に日蓮において、私は衷心《ちゅうしん》にきざまれました……徹底的のところには、すべての人間相が、少しも姿を隠さずに、眼前に現われて来ます、誰も荒海の漁師の子に、阿媚《あび》と諂佞《てんねい》を捧げるものはありません、真実は真実として、虚偽は虚偽として、人間相そのままが、人間を教育してくれるのです」
 そこへ金椎《キンツイ》が日本のお茶を持って来ました。
 お茶を置いて金椎が、丁寧なお
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