にかけばこうなる――と主張したところが、そんな美男子ではいけないとおそろしい権幕、拙者のかいた下書をいじくり散らして、勝手な訂正を試みたものだから、それによって新たにかき直してみると、他の方面からまた苦情が出たのに、竜之助は、こんな尖《とんが》った貧相《ひんそう》な男ではないと。こいつには拙者も弱ったのだ、現在その人を見たわけではないのだからな。人の言葉によって、想像を助けられて描くのだから、どっちに附いていいかわからない。拙者がわからないばかりでなく、その席でまた問題が持上ってしまった。それでね、いったい、美男子の標準というものは、どういうのだと根本問題にまで立入って来たが、結局美醜は問題でないが、あの男が非常な魅力を持っていることは争われない、この絵にはその魅力が少しも現われていないということで、また新たに問題が湧き出した。それから拙者がいってやった、拙者は画家ではないから、その魅力なんというものは描き出せないから宜《よろ》しくたのむといってやったら、問題はまあそれだけになったが、不服は両方に残っている。人情というものは妙なものさ、竜之助非美男論者は、ほとんど絵に向って嫉妬のような
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