のは私ではございません、流祖の反町無格《そりまちむかく》のことですよ。その流れをくみまして、こうして無眼流の看板を掲げましたが、いっこう弟子がつきません。今日はお前さんがたいそう神妙に話をなさるから、お相手になって上げましょう」
と言うところは、いかにも勿体《もったい》がついていますから、
「なにぶん、お願い申します」
このおやじ、むかし取った覚えの竹刀《しない》で立合ってくれるのだろうと期待していますと、おやじは絵馬をかく手をいっこう休めず、道具をつけて立合おうとする気色《けしき》がなかなか見えません。あるいは、こうして悪く落付いたり、勿体をつけたりするだけに自信があるのかも知れないと、兵馬は多少心中たのもしがっているところへ、おやじは、
「で、お前さん、わしはこうして仕事をしているから、遠慮なく打ち込んでおいでなさい、竹刀でも、木刀でも、真剣でもかまいませんから……」
けれども兵馬は、この老人に打ってかかろうとも、斬ってかかろうともしませんでした。この老人を打ち取っても功名《こうみょう》にはならない。絵馬代用の鍋蓋試合《なべぶたじあい》をはじめたところで芝居にもならない。しかし
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