吉にたのむと、
「どう致しまして、私なんぞ……」
浅吉がハニかむのを、後家さんは叱るように、
「教えてお上げなさいよ」
「どうぞ、おたのみ致します」
お雪も面白半分に、浅吉にたのむものですから、浅吉がいよいよ迷惑がり、
「いいえ、ダメですよ」
「そんなことをいわずに踊って見せてお上げなさい……ねえ、お雪さん、あなたも、ただ教わっちゃ駄目よ、一緒に立って、手を取って教えてもらわなくちゃ」
「いいえ、わたしは見せて教えていただけば覚えますから」
「そんなズルいことをいって駄目よ、教わるのに横着をしちゃいけません」
「だって、できもしないのに、きまりが悪いんですもの……」
「ナニ、きまりが悪いことがあるもんですか、若い同志で充分に踊りなさい、わたしが、ここで歌いますから……」
後家さんがこう言って、二人を立たせようとしたけれども、浅吉はいよいよハニかんで立とうとはせず、お雪も無論手を取ってまで、教えてもらおうとは思いません。
そこで、木曾踊りの実演は中止の形となりましたが、
「若い人は、遠慮があるからいやよ」
と言って後家さんが急に立ち上って、廊下へ出ました。浅吉と二人ばかりあとに残
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