殺すといいましたか」
「いえ、いえ、そういうわけじゃありませんけれど、盲目《めくら》でいながら、ああして刀をそばへ引きつけておく人には、油断がなりません」
「お前、何かあの方に失礼なことをいって、脅《おど》かされたんじゃないの……」
「いえ、いえ、決してそういうわけじゃございません、おかみさんのお身を心配するあまり、ついよけいなことを申し上げました」
「付合ってごらん、あれで、なかなか苦労人で、世間を見ておいでなさるから。ポツリポツリ話してゆくうちに、だんだん味が出て来るようなお方ですよ、こわいこともなにもありゃしません」
「ですけれども、おかみさん……私が可愛いと思うなら、私に心配をさせないで下さい。ね、私は、いつおかみさんが、あの人に斬られるか……それを思うとヒヤヒヤしつづけですから」
「ほんとうにお前は意気地のない人だ……さあ一つお上りよ」
 後家さんは、炬燵《こたつ》の上の杯を取って男妾に与えました。
 そこへお雪が廊下の外からやって来て、
「おばさん」
「はい、お雪さん、お入りなさい」
と言って、炬燵の上の酒の器《うつわ》だけを下へおろしてしまいますと、お雪は、
「さきほどは
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