て嫉妬に似た気持で、後家さんを引きつけようとあせる気色《けしき》が、ありありと見え出したことです。
この二組のほかに、お客というもののない今日《いま》の白骨の全温泉で、おたがいが一家族のように親しくなるのはあたりまえで、おたがいに出入りの密になるのもあたりまえですが、後家さんが、お雪と竜之助のところへ話しに行くと、そのあとで、男妾の浅吉が、額に苦しい汗を出して、やきもき悶《もだ》えはじめます。そうして、ある時は一生懸命の思いで、後家さんに向ってこういうことを言いました、
「おかみさん、うっかりあの座敷へ行ってはいけませんよ……あの久助さんや、お雪ちゃんたちと、懇意にするのはようござんすが、あの浪人者みたような人に、近寄らないようになさいまし」
そうすると、色気たっぷりの後家婆さんが、
「何ですね、お前、そんなわけにゆくもんですか、この一つ家にいながら……」
と取合いません。
「それでもね、おかみさん、あの人は、どうも気味の悪い人ですから、御用心なさらなくちゃあ……」
「気味の悪い人……そりゃ御病人ですもの。お目が悪いのに、身体《からだ》が少し疲れていらっしゃるんですよ。つきあってご
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