従い、道を信濃に取って佐久間象山に謁す。象山、つくづくと晋作を見て、
「君は幾つになる」
「二十一」
そこで、象山が、またも晋作の面《おもて》をつくづくとうちまもり、嘆息すること久し。
晋作はその時、内心得意でありました。象山が嘆息したのは、おれの英雄心を見て取っての感嘆であろう。そこで、
「先生、僕の歳を聞いて、ナゼそのように御嘆息をなさる」
「されば」
と象山は徐《おもむ》ろに曰《いわ》く、
「おれは十五歳にして、信濃一国に鳴り、二十歳にして日本全国に鳴り、三十歳にして五大州に鳴る。君は二十一歳というのに、おれはまだ高杉晋作なるものの名を聞いたことがない。いったい、君はどこへ年を取っているのだ」
これには、さすがの高杉東行も、黙然《もくねん》として一言もなかった。
ここにいる仏頂寺弥助と高杉晋作とが試合を試みたのはその時です。
仏頂寺は斎藤弥九郎の高弟。そのころ無敵といわれた道場荒し。
当時の佐久間象山は、水戸の藤田東湖と共に一代の権威。諸侯も礼を厚うして、辞を卑《ひく》うしなければ教えを乞うことのできぬ人だから、高杉もこの人に逢っては、油を絞られるのもぜひがない。象山
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