はまた豪傑の士に逢うと、好んでこういう手段を弄《ろう》したがる男である。
そこで、仏頂寺弥助と竹刀《しない》の立合。高杉はそうそうは負けてもおられまい。といって高杉は剣術使いではない。
尋常では勝てないことを知っている彼は、立合の場へ立つと、いきなり交叉してあった竹刀を取り上げ、
「オメーン!」
まだ立合わない仏頂寺の頭を一つ食《くら》わせてしまった。仏頂寺大いに怒り、
「まだ、礼式も相済まぬうちに、頭を打つとは何事でござる、無作法千万」
高杉晋作は、いっかな聞かない。
「何とおっしゃる、貴殿もし、戦場に臨み、敵に頭を斬られてなお礼式呼ばわりをなさるか」
「以ての外、ここは戦場ではござらぬ」
「いやいや、立合の場は戦場と同様でござる、貴殿の頭は、もう拙者が打ち割ってしまったのでござる」
「強弁を振いたまわず、いさぎよく立合って勝負をさっしゃい」
「勝負はすでについてござる、拙者の勝ちでござる」
仏頂寺が躍起になって怒るのを、高杉は頑《がん》として勝ちを主張してこの場を去った。これは高杉一流の手前勝手。
とにかく、仏頂寺弥助は当時有数の剣客でありました。
それはさて置き、こ
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