じ色に過ぎない。これでは、歩いても、歩かなくても、同じようなものだ。
ただ、足がなんともいえず軽快である。同じような藪の中と、同じような燈籠をいくつ数えて歩いても、疲れるということを知らない。そこで、おなじような道を歩む。
「もし」
ふと、その燈籠の一つの下で人影を見出したから、歩みをとどめて竜之助が問いかけました。
「これは真直ぐに行ってよいのですか」
問われたのは女の子です。髪をかむろ[#「かむろ」に傍点]に切りまわし、秋草をおぼろ染め[#「おぼろ染め」に傍点]にしたような単《ひとえ》の振袖を着て、燈籠の下に小さく立っていましたが、竜之助にたずねられて、ニッコリとさびしく笑い、
「どこへおいでになりますか」
「白骨《はっこつ》の温泉へ……」
「白骨……そんな温泉はこの近所にはございませんよ」
「ない?」
「ええ、ハッコツなんて名前の温泉は、この近所にはございません」
「ないはずはないのだが……」
「それでは字に書いて見せて下さいな」
請《こ》われて竜之助は、金剛杖を取り直して、地上に、「白骨」の文字を認《したた》めました。その白骨の文字が、なんという鮮《あざや》かな青味を持
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