まいました。
そこで、取組み合い、なぐり合い、引掻き合いが見ているうちに起り出し、女子供は泣きさけんで救いを求めるの有様です。
高いところで見ていたお角は、直ぐにその目の下の混乱によって、また始めやがったなという苦々しい表情です。
「オレ[#「オレ」に傍点]のだい、オレ[#「オレ」に傍点]のだい、オレ[#「オレ」に傍点]の下駄だってえばよう」
下卑た声が甚だしい耳ざわりで、混乱の中から起るのを聞いていると、たしかにこの混乱の原因は、下駄の擁護から起っているらしい。人より三分間ばかり下駄を後に穿《は》くか、先に穿くかという問題から、なぐり合い、つかみ合い、引掻き合い、取組み合いが起ったものらしい。どうもそのほかには、お角にも原因らしいものが見当りません。
幸いに、お角は少しばかり高いところにいたものですから、この混乱の現状を、活動写真を見るよりも鮮やかに見て取ることができました。しかし、お角は、この騒ぎは、甲府の一蓮寺の時のように、大事《おおごと》にはならないと見て取りました。混乱するだけ混乱させ、取疲れるまで取組ませておけば、おのずから静まる性質のものだと、タカ[#「タカ」に傍
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