、若先生の方も少しばかり……」
「そうだろう、七升は飲めまい」
妙に七升を振りまわすさむらい[#「さむらい」に傍点]だと思いました。また事実、飲めようと飲めまいと大きなお世話です。米友ならば食ってかかるのだろうが、与八は、おとなしくそれを聞き流していると、件《くだん》のさむらい[#「さむらい」に傍点]はいっこう無遠慮に、
「どうだ、この道場へはお化けが出るという話だが本当か」
「そんな噂《うわさ》がありますか」
「あるとも、武州、沢井の机の道場には夜な夜なお化けが出る、それで誰も道場を預かり手がない――という噂を聞いて、わざわざたずねて来たのだ」
「へえ、この近所に住んでいるものは、そんなことあ言やしません」
「ともかく、今晩はここへ泊めてもらいたいものだ」
件《くだん》のさむらい[#「さむらい」に傍点]は、道場の板の間の真中へすわりこんでしまいました。
「おとまりなさいまし、お化けなんぞは出や致しません」
与八はおとなしく、この無遠慮なさむらい[#「さむらい」に傍点]の言い分を受入れました。
こういう無遠慮なさむらい[#「さむらい」に傍点]ですけれども、与八は逆らわず、望み通
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