でございます、みんなもう亡くなりましたね」
「あれの親がエラ[#「エラ」に傍点]物《ぶつ》であったというではないか。そうして酒を飲んだか」
与八は、変な物のたずね方をするさむらい[#「さむらい」に傍点]だと思いました。横柄《おうへい》なのは仕方がないが、エラ[#「エラ」に傍点]物であったというではないか、そうして酒を飲んだか、という尋ね方は、おかしいと思いました。このさむらい[#「さむらい」に傍点]の尋ね方では、エラ[#「エラ」に傍点]物はキット酒を飲むもののようにきめているらしい。
「大先生《おおせんせい》もお若いうちは、少しは召上りになったようでございますが……」
と申しわけのようにいうと、さむらい[#「さむらい」に傍点]は、
「少しではあるまい、うん[#「うん」に傍点]と飲んだろう、飲む時は七升ぐらい飲んだろう……」
「え……」
与八が、また返答に苦しみました。七升と相場をきめたのがおか[#「おか」に傍点]しいことです。六升飲んだか、七升飲んだか、そんなことは誰も知っているはずはない。知っているなら尋ねなくてもいいはずだ。
「それで竜之助はどうだ、これはあまりいけまい」
「え
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