いよいよ望みがかなって、近いうちにこの上まで車が、カラカラッと勢いよく舞い上るから見ていてごらんなさい、景気よく、カラカラッと上るところをごろうじろ……」
といって、ブクブク肥った身体《からだ》を一つゆすり[#「ゆすり」に傍点]、
「カラカラカラッと景気よく……」
 半ぺん坊主は山をくずして、近いうちに車がしかかるのが嬉しくてたまらないらしい。
「この間はまた、伐り倒した大木を、機械鋸《きかいのこ》にかけてキリキリキリッと音を立てさせていたが、あの音がまた甚だ結構……ああいうのを聞いて飲むと、酒がひとしお旨《うま》く飲める……」
といって、うまそうに一杯飲む。
 この坊主の理窟によると、昔の名僧智識が、わざわざ寺を山の上へ持っていったのは昔のことで、今の宗教は、なるべく民衆と接近しなければいけない、それをするには、どんな霊域でもカラカラカラと車を仕掛けるに限る、という持論から、今度などもずいぶん運動に骨を折りました。
 そこへ二三人の人夫が、立札を荷《にな》ってくる。
「御苦労、御苦労」
 半ぺん坊主が、こちらからねぎらう[#「ねぎらう」に傍点]と、人夫はちょっと笑っただけで、土を掘っ
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