の必要もなきところへ、金儲けのための無用の工事を加えるというのは、俗界にあっても許すべからざることであるのに、身、僧侶にありながら、多年、その山の恵みに生きながら、それを切り崩して金儲けをもくろむ[#「もくろむ」に傍点]とは言語道断《ごんごどうだん》……一体、仏寺なるものが、その祖師の恩恵によって過分の待遇を受け、広大な領分を持ち、諸方の勧化《かんげ》を貪《むさぼ》りながら、なおそれにあきたらず、開山以来、尊重したその山の樹木を伐り、山を崩して、金儲けをしようとは何事だ」
空谷《くうこく》の中に立って、この男がこう叫びました。七兵衛は、よくいってくれた、もっと何かいって下さいという感じがしていると、
「誰がこの樹木を伐ることを許したのだ、誰がこの山を切り崩すことを許したのだ。ナニ、宮方《みやかた》の役人が……宮方の役人とは寺社奉行のことか。ここは江戸を距《さ》ること僅かに十余里、お膝元も同様なところではないか、寺社奉行の威光がここまでも及ばないのか……ナニ、一旦、向うの方の材木を伐って売り払い、そこがいけないから、今度はこちらを切りくずしにかかったのだと、山を何と心得ている」
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