るのであります。
その説によると、主人がしっかり[#「しっかり」に傍点]していて、家中が気を揃《そろ》えているところには、家相におのずから弾力があって、忍び込めないことになっている。よし忍び込むことができても、その獲物《えもの》が僅少であって、犠牲が多いことになっている。これに反して、主人が惰弱《だじゃく》で、家風が衰えている家は、いかに構えがおごそかでも、家相というものが、隙だらけで、そこへ忍び込んで仕事をするのは、極めて容易《たやす》いことになっている。
七兵衛にいわせると、これは、個々の家相のみではない。彼が国々を出没してあるくうちに、おのずから、その領主の気象や士気が、風土の上に現われるのを見て取ることができる。
領主が賢明にして士風が振うところは、城内の樹木の色まで違う。国が盛んに、人気の和《やわ》らいでいるところでは、必ずその封内の神社仏閣を大切にし、樹木が鬱蒼《うっそう》としている。貧弱な国ほど領内に樹木が乏しい。よい樹木があってもそれを伐りたがる。
神主や坊さんたちも、人物が優れているほど、境内《けいだい》の風致の荘厳《そうごん》を重んずるが、それが堕落すればす
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