ばかり湯気を立てています。
「どうも御馳走さま」
「どう致しまして」
「まあ、話しておいでなさいましよ」
「ありがとうございます」
娘は、ちょっ[#「ちょっ」に傍点]と立ちまど[#「まど」に傍点]うていましたが、
「また参りましょう」
「そうですか、では、また話しにおいでなさいな」
「ええ」
七兵衛は、小笊の中へ付木《つけぎ》を入れてかえすと、娘は、それを持って帰って行きました。
再び膝を組み直した七兵衛は、ぼんやりと娘の帰っていったあとを見送って、
「うむ、いい娘になったなあ、少し見ないでいるうちに……」
ハチ切れそうな娘ざかりの肉づきが、この時ひどく七兵衛の目に残りました。
今まで、女というものの存在をわすれてでもいたかのように、七兵衛は、今の娘を帰してしまったことを、なんとなく残りおしくてたまらない心持になって、無理にひきとめて、京大阪の話でも聞かせるのだったのに……
そういえば、娘もなにか物欲しそうに来ていた様子……上手《じょうず》に言えば、いくらでも話し込んでいたにちがいない。
いったい、おれは女には気を置き過ぎる……と七兵衛が自分を歯痒《はがゆ》く思ったのはそ
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