に傍点]、神尾の方でも、また逼塞《ひっそく》の生活にいいかげん退屈しているのを機会《しお》に、がんりき[#「がんりき」に傍点]を頼んだものと見える。
 こうして、二人のやくざ[#「やくざ」に傍点]者が、腐れ縁ながら提携してしまってみると、これから後、類は友をひいて、再び染井の化物屋敷が、この根岸へ現われてくるものと見るほかはあるまい。
 ただ、気の毒なのは、正直な田舎者《いなかもの》のお吉で、こんなところに永居《ながい》をすれば、よいことはないにきまっている。
 それでも、この女は、もとの領主という尊敬をいつまでも失わず、忠実につとめて、国に夫が待ってさえいなければ、いつまでもここで御用をつとめる気分になっているらしい。
 神尾とても、酒乱の兆《きざ》さざるかぎり、お吉に向って、そう乱暴を働くということもなく、またこの男は、やくざ者だけに、ドコか肌合いにやさし[#「やさし」に傍点]味もあると見えて、そう没義道《もぎどう》に人を使うということもないと見える。
 神尾は引籠《ひきこも》って、人に姿を見せないし、お吉は別荘の留守番といったような格で、かいがいしく働いているから、庭や垣根の手入
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