に見る卒塔婆小町《そとばこまち》を思い出したよ」
「ホホホ、よく皆さんが、そんなことをおっしゃって下さいますが、西行《さいぎょう》に姿ばかりは似たれども、と申すようなものでございます」
「いいえ、お前の前生は小町かも知れない、さぞ男を悩ましたことであろうな」
といって駒井は、自分ながら口が辷《すべ》り過ぎたと思いました。
「御冗談をおっしゃいます……」
 この時に、水を汲んだ宇治山田の米友が帰って来ましたので、卒塔婆小町は、
「友さん、御苦労さま」
「おいらは、水を汲むのは何ともねえが、提《さ》げて来るのが骨だよ」
といってその手桶を土間へかつぎ込んだのと、駒井甚三郎が紙包の上へ、駒井家回向料の文字を認《したた》め終ったのと同時でした。
「あ!」
 米友が舌を捲いて、手桶を抛《ほう》り出して、駒井の面《おもて》をキッと見つめたのもその時です。
「やあ、手前《てめえ》は駒井能登守だな」
 そのクルクルと廻った円い眼には、おどろきのほかに憤《いきどお》りが燃えています。
 駒井甚三郎は筆を下に置いて、
「おお、お前は友造ではないか」
 はじめて、米友の面《おもて》をまともに見ました。
「う
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