て上げような」
「ああ、どうぞ」
 そこで米友は胸一ぱい[#「ぱい」に傍点]抱えて来た秋草を、明《あ》いた花桶の中へ入れようとして、
「おや、この桶には水がねえや」
「水がありませんかね。それじゃそのままにしておいて下さい、あとから汲んで来て入れますから」
「おいらが汲んで来てやろう」
といって米友は、胸一ぱい[#「ぱい」に傍点]に抱えた草花を桶の中へさし込みながら、傍《かたえ》の手桶を横目でながめました。
 その手桶を提げると、米友は以前入って来たところから、身軽に外へ飛び出してしまいました。動物園へ動物を寄附する時には食糧附の義務があるように、米友は草花を持って来た好意に添うるに、水汲みの労力を以てすることを、さのみ苦には致しません。これはお安いことです。
 米友はこうして水を汲みに出かけました。そのあとで、駒井甚三郎は、
「婆さん、奉書があれば結構、なければ西の内でも、それもなければ半紙でもよろしい、紙を一枚下さい」
「何になさるんでございますか」
「え、志納金をお寺へ納めて行きたいと思う」
「左様でございますか」
 婆さんは、立って、奉書の紙のいったん使用して皺《しわ》をのばし
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