られたのは、政略のための人質に過ぎないし、後に坂崎出羽に与えられようとしたのは、働きに対する懸賞品の代用として扱わるるに過ぎなかった。女性を、娘を、物品として取扱うことをしか知らぬ父祖というものに対して、この女が呪いの心を発したというのはありそうなことである。
そして、この女は我儘《わがまま》の目的物として、美男の本多忠刻をえらんだ。
忠刻が、この美人に思われて夭死《わかじに》をしたのは、お輿入《こしい》れ間もないことで、その死因は単純な果報負けだともいうし、坂崎余党のうらみの毒によるものだともいうし……また、昼夜に弄《もてあそ》ばるる天樹院の、限りなき情慾の犠牲に上げられたものだともいう。
天樹院の乱行には、まさしく復讐の念をふくんでいなかったとは誰もいわない。
女の復讐は、いつも魂をいだいて泥土の中に飛びくだる――そうした時に、征夷大将軍の力もそれを救うことができない。
駒井甚三郎は、昨晩一学からいわれ、その時はほとんど念頭に置かなかった言葉の節々が、今や重く胸にわき上ってくるのを覚えました。
一学はわが妻の挙動を叛逆だと叫んだ。叛逆とは何を意味している。今までそういう
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