う」
「持って来て頂戴」
 おちゃっぴイ[#「おちゃっぴイ」に傍点]は大呑込みにして、急いで行ってしまう。
「ホントにばかばかしいったらありゃしない、金公の野郎、覚えていやがれ」
 余憤容易に去らず、これは昨晩、金助が両国橋まで一目散《いちもくさん》に逃げて、さてその下駄を突っかけようとして見ると、片一方だから、やむを得ず、そこへ並べて置捨てにしていったものに相違ない。
 これがためにあらぬ浮名を受けたお梅は、相手が相手だから、浮名儲《うきなもう》けにもならないと思って、しきりに口惜《くや》しがっているのをお角が慰めて、
「まあ我慢おし、そのうちあの野郎が来たら、水をブッかけておやりなさい。それから今日はちょっと[#「ちょっと」に傍点]廻り道をして行きたいから、早く出かけましょう、梅ちゃん、そのつもりで支度をし」
 ほどなく軽業小屋から留守番に来た女連《おんなれん》といりかわりに、お角はお梅をつれてこの家を出て行きました。
 いつもならば直接《じか》に回向院《えこういん》の興行場へ行くのに、今日はどこぞ廻り道をするところがあるとみえます。

         十九

 お角はお梅をつれ
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