、早速こうして御注進に駆けつけてみると、心中の片割れであるべきはずの御当人が、平気で挨拶に出たから双方あっけに取られた始末です。
注進に来た、おちゃっぴイ[#「おちゃっぴイ」に傍点]の方は、まあ間違いでよかったと安心したが、納まらないのはお梅で、
「ばかにしているよ、あんな奴と心中なんかするものか」
ぷんぷんと腹を立てました。
「あんな奴って誰のこと?」
おちゃっぴイ[#「おちゃっぴイ」に傍点]は合点《がてん》ゆかない。
「何だ、あんな奴と心中なんか、誰がするもんか」
おちゃっぴイ[#「おちゃっぴイ」に傍点]にはお梅の不機嫌なわけが、いよいよわからない。
「女物はたしかに梅ちゃんのに違いないが、男のは後丸《あとまる》のしゃれた[#「しゃれた」に傍点]形なのよ」
「ふうちゃん、外聞が悪いから、早くその、わたしのだけを持って来てしまって頂戴な、男のなんかかまやしませんよ、川の中へ蹴込んでおやりなさい、このごろは下駄泥棒がはやるんですとさ」
「それじゃ、梅ちゃん、お前さんの下駄を盗まれたの?」
「大抵そうなんでしょう」
「まあ。でも無事で安心したわ、早くその下駄を持って来ちまいましょ
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