よけいなことを喋《しゃべ》ったというだけにとどまるが、このよけいなお喋りのために、お角は大事の金主元を失い、これからのてちがいを心配してみると、この野郎の面《つら》が癪《しゃく》にさわってたまりませんから、
「ホントに、おっちょこちょい[#「おっちょこちょい」に傍点]ほど怖いものはありゃしない」
と言って、その横面をまた一つピシャンと食らわせたものですから、金助は生ける色がなく、お角の手が弛《ゆる》んだのを幸いに、丸くなって逃げ出し、梯子段をころげ落ち、土間へ辷《すべ》り出して、下駄を突っかける暇もなく、両手でひっつかんで、格子戸を押開け、はだし[#「はだし」に傍点]で外の闇へ逃げ出してしまいました。下にいたお梅は胆をつぶして、
「あらあら、金助さん、わたしの下駄を片一方持って行ってしまって……」
これは笑いごとではない。金助はあわてて自分の穿いて来た後丸《あとまる》の下駄と、お梅の大事にしていたポックリ[#「ポックリ」に傍点]を半分ずつ持って逃げ出してしまったものだから、お梅は泣かぬばかりに口惜《くや》しがって、あとを追っかけてみましたけれど、どこへ行ったか影さえ見えません。
こ
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