#「おっちょこちょい」に傍点]のくせに、いいかげん図々しいが、それでも気がとがめるものがあると見えて、あらかじめ雲行きをうかがってから上り込むと、
「まあ、こっちへいらっしゃい」
お梅は火鉢の前へ座蒲団をすすめます。
「へ、へ、これは恐れ入りやす。梅ちゃん、お一人でお留守はさびしいでしょう」
「ええ」
「お稽古は何ですか」
「でたらめよ」
「驚きましたね、でたらめのお稽古とは」
「金助さんの前でやると、ボロが出るからよしましょう」
「ト、トンでもないことで……どうか一つ綺麗なところを、お聞かせなすって下さいまし」
「ははあだ、綺麗なところなんてあるものですか」
「御冗談でしょう、梅ちゃんも隅へ置けない、幾つになりました」
「知らない」
「梅ちゃん、あの福兄さんが、この間も、そ言ってましたよ、梅ちゃんが実が入《い》って、食べごろになったけれども、これ[#「これ」に傍点]が怖いからうっかり傍へ寄れないって」
金助が親指を出して見せると、
「ばかにおしでないよ」
お梅が腹を立って突き飛ばす。
「こりゃア、ちと荒っぽい、まともに鉄砲を向けられちゃたまりません、いくら金助がお粗末だからとい
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