。またしても、こんなこと。お角は、いっそ匕首《あいくち》でも懐中して怒鳴り込み、刺し殺してやりたいほどに、お絹を憎み出しました。
 お絹にとってはいい迷惑で、お角が大事に保護(?)しているお銀様を逃がしたのが、お絹の仕業でないことは確かで、それは間違いなく金助というおっちょこちょい[#「おっちょこちょい」に傍点]の、よけいなお喋りがもとであるけれども、お角が一時にそう恨みをかけるのも、日ごろが日ごろだからぜひがないと申さねばなりません。また事実においても、もしお角がああしてお銀様を保護し、それを上手に利用することを知っていたなら、あの女は、きっと何か茶々を入れるくらいのことをやったのにちがいないのであります。
 こうして、お銀様を逃がしたのは、いちずにお絹の計略だと思い込んで、怒鳴り込んで刺し殺してやりたいほどに腹の立ったお角も、そこはさる者だから、怒りに乗じてあとさきの見えないことをやり出しはしません。
「梅ちゃん、今晩から、わたし一人で二階へ寝るから、下はお前に頼みますよ、淋しければお勢ちゃんでも誰でもお呼び」
といって二階の梯子《はしご》に足をかけると、お梅にはわからないから、

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